リノベーションを自ら楽しむ施主|可美建築|浜松の工務店

工務店紹介

理想の家づくりを叶える工務店vol.10|家づくりそのものを楽しむために。DIYをサポートする建築家|可美建築(浜松市中央区)

これから家づくりを検討する方へ向けて、工務店の魅力を紹介する連載企画です。第10回目は、可美建築さんです。

リノベーションを自ら楽しむ施主|可美建築|浜松の工務店

CONTENTS

1.

はじめに

家は買うもの。あるいは建築会社に建ててもらうもの。そう考えていたならもったいない。じつは、自分の家を自分でつくる選択肢もあるのです。

 

お客さんと「ともに考えともにつくる、施主参加型の家づくり・店づくり」をコンセプトに展開する可美建築さん。一級建築士の竹山博さんが主宰する工務店です。竹山さんは東京の大学を卒業後、設計事務所や建設会社で経験を積み、2014年浜松にUターン。個人の設計事務所を立ち上げ、これまで住宅や店舗の新築およびリノベーションの設計施工を手掛けてきました。

 

その後、2022年に「可美建築」という屋号に変更。可美建築として初めて手掛けた店舗が浜松市浜名区にオープンしたというので、さっそく伺いました。

 

リノベーションで再生した古民家|可美建築|浜松の工務店

築55年ほどの家をリノベーションしたケーキ屋「nuk.(ヌック)」(撮影=青木遥香)

 

※nuk.さんの instagram
https://www.instagram.com/nuk.hamakita/

 

 

2.

おじいちゃんから子どもまで、総勢約30人のリノベーション

パティシエの髙田麗(あき)さんが祖父母の家をリノベーションし、ケーキ屋としてリニューアルした「nuk.」。髙田さんは、かつて市内にある有名ケーキ屋の店長だった経歴を持ち、子育てに専念しながらも友人からのオーダーを受けてお菓子づくりを続けていました。お子さんが巣立っていくなかで、あらためてやりたいことは何かを考え、大好きなお菓子づくりを再び仕事にしていく道を決意。2023年10月に個人商店をオープンさせました。

 

リノベーションしたケーキ屋店内|可美建築|浜松の工務店

「nuk.」の店内。リノベーションしたとは思えない空間(撮影=青木遥香)

 

髙田さんのバイタリティもさることながら驚くのは、ほとんどの工程を髙田さんの親戚や友人と仕上げたということです。なぜそれが可能だったのでしょうか。設計施工を担当した竹山さんは笑いながら振り返ります。

 

「髙田さんのご両親やお孫さんなど、いつもたくさんの人が手伝ってくれました。現場に来ると必ず誰かがいて、ワイワイガヤガヤ楽しく作業をしていて。ちょっとアドバイスしただけで、あっという間にできちゃったから僕も驚きました(笑)」

 

プロの職人さんに教えてもらいながら、ほとんどの作業を自分たちの手によって実現した中古物件のリノベーション。「どの方角にも足を向けて眠れません(笑)」というほど、多くの人の手を借りたと髙田さんは話します。その数、総勢約30人!

 

漆喰壁の塗装もDIY。髙田さんとお父様の力作です

 

年齢に関係なく、お店づくりを楽しむ皆さん

 

「小さい頃から工事現場を覗くことが好きで、ものづくりに関心がありました。実家の壁をDIYでペンキ塗りしたことも。そんな私がお店づくりを竹山さんに相談しているのを家族や友人が見ていて、自分たちには何ができるかと考えてくれたようです。みんなで砂壁を落としたり、網戸を張り替えたり、駐車場のロープを張ったり。来れる人が来れるときにやれることをやるというスタンスで、次第に出来上がっていきました」

 

いまはDIYの方法をネットで簡単に検索することができますが、実際どうやったら形にできるのかがわからなかったと髙田さんは言います。竹山さんは、なるべく自分でつくりたいと言う髙田さんを全面的にサポート。プロに任せるべき工程以外はDIYでできるようコーディネートしていきました。その結果、「理想的で幸せな現場になった」と満足そうに微笑みます。

 

現場の様子を振り返り、思い出し笑いをする二人

 

 

3.

施主参加型の家づくり・店づくりにこだわる理由

このように、可美建築さんでは施主参加型の家づくり・店づくりを展開しています。主に中古物件のリノベーションを通じて、ともにどんな家や店をつくりたいか考え、ともにつくるプロセスを共有していくことを大切にしています。

 

「東京の設計事務所に勤めていた頃、あるお客さんに新居の引き渡しをしたんです。わぁきれい、素敵!と口では言ってくれてはいても、どこか不安そうで。新しい家を汚さないように、壊さないようにしなくてはという緊張感が伝わってきました」

 

そんなお客さんの様子から竹山さんはひらめきます。

 

「新築で引き渡した場合、お客さんは壁の塗り方も造作家具の直し方もわからず、少しでも傷をつけてしまえば取り返しがつかなくなると、恐る恐る暮らすことになってしまうのではないか。一方で、自分でつくれば直し方もわかる。きっと安心して暮らせるだろう。それであれば家をお客さんと一緒につくってはどうか……」

 

このエピソードがいまの「可美建築」のコンセプトになっているという竹山さん。けれど、すべてを素人がつくることは時間も労力も要し、安全面や完成後のクオリティも心配です。竹山さんをはじめとするプロのかかわり方はどのように考えられているのでしょうか。

 

自ら店舗内の棚を施工する竹山さん

 

「構造やデザインのまとまりは担保したうえで、どこをプロの大工さんに頼むのか、どのくらいDIYでつくるのか調整するのが僕の仕事です。お客さんによってできることは異なります。家庭の事情や年齢もそれぞれ。僕はお客さんの能力・経験値、そしてつくりたい気持ちの度合いに合わせてコーディネートしていきます。お客さんのDIY能力も敷地条件とともに考慮する、設計条件だと考えています」

 

お客さんの主体的な想いを大切にしているという竹山さん。自分でやれば安く済むからという消極的な理由ではなく、自分たちがつくりたいからつくる。家づくりそのものを楽しみたい。その積極的なお客さんの想いがよりよい空間づくりへと押し上げ、プロが提供する空間とはまた異なる付加価値を生み出すことになるのでしょう。

 

竹山さんの自宅マンションの一室も、中古物件を自ら設計施工して完成させました

 

マンションリノベーションも、お客さんの希望に合わせて施工を一緒に行うことができます

 

4.

DIYでつくる分譲住宅プロジェクトへの夢

新築の住宅もまた、一からお客さんとつくることは可能だと話す竹山さん。たとえばどんなつくり方があるのでしょうか。

 

「『DIY分譲』を企画してみたいですね。何棟か集まった分譲地に工作室を用意して、お客さんが自ら家をつくるプロジェクトです。一般的に分譲住宅は売主が企画した家を購入するものですが、僕は家を自らつくることの楽しさを伝えたいと考えています。『DIY分譲』はお客さんに合わせてプランも考え、つくるプロセスを分譲地全体で共有していく完全自由設計・自由施工の家づくりです」

 

似たプロジェクトに、竹山さんがかつて手掛けた「DIY賃貸」プロジェクトがあります。既存の賃貸住宅に工作室を設け、入居者は自室を自由にDIYできるものでした。ワンルームのDIYに比べ、一棟丸ごととなると夢のような話です。けれど竹山さんという設計と施工を理解した専門家が、お客さんのつくりたい気持ちを受け止めつくり方をナビゲートしてくれるなら、決して不可能ではないと思えてきます。つくりながら分譲地全体のコミュニティも育っていきそうで、今後実現が楽しみなプロジェクトです。

 

5.

代表の竹山博さんからのコメント

 

「DIYに挑戦してみたいけど経験がなくて不安という方、可美建築では職人に教えてもらいながら工事の一部に参加することもできます。どの程度DIYでできるか、ご希望に合わせてしっかり打ち合わせをしますのでご安心ください。マンションのリノベーションも相談可。子どもさんと一緒に家づくりを通じて思い出に残したい方は大歓迎です」

 

***

可美建築さんに関する詳しい情報はこちらから
登録会社ページ:https://www.enshu-home.com/partner_detail/?posttype=order&id=13940

 

 

<過去の記事>

第1回 アールスタジオさんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/15124/

第2回 マブチ工業さんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/15394/

第3回 アイジースタイルハウスさんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/15461/

第4回 ほっと住まいるさんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/15618/

第5回 つくし工房さんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/16033/

第6回 柴田建築企画さんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/16444/

第7回 岩崎工務店さんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/16473/

第8回 スズイチさんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/18217/

第9回 DAITOKU(大得工務店)さんの記事はこちら。
https://www.enshu-home.com/college/18624/

 

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